WCS2022の振り返り

ロンドンで開催されたWCS2022に参加してきました。
WCS2022に参加するまでの過程と結果を残しておこうと思います。

<INC February>
とりあえず対戦数は重ねている状態でしたが予選抜けが見えるような状態ではとてもありませんでした。
それなりに有名構築は触っていましたがイベザシをまだ触っていないことに気付き2019年に一緒にやっていて今は完全にポケモンから離れてたムーンにVictoryroadの大会の結果とイベザシ3つを送りつけどれが強そうか聞きました。
そうするとどれも弱そうという返事とともに黒バドザシアンが強そうじゃねと意見がきます。
環境序盤の構築センスに絶大な信頼を寄せていたのでとりあえずVictoryroadの黒バドザシアンをパクって回していると翌日に10位台になって再戦しまくるようになったからやめたと連絡が来ます。
圧倒的構築センスの差に絶望しながらも構築と回し方を教えてもらいほとんどいじれる部分がなかったので配分と技構成のみ微調整してあとは数をこなしてINCに臨みました。
本番は8:50時点で31-5の1881で32位で上に海外勢はmarcoしか見えておらず滑り込みも考慮してあと1戦潜りました。
結果は日和ったプレイングをして2連守るの勝ち筋を与えてしまい31勝6敗の1860台で終了。
使用構築は黒バドレックス、ザシアン、フシギバナコータス、レジエレキ、マンムーで追い風もトリックルームもしない構築にはエレキ黒バド、追い風構築には黒バドレックスで初手トリル、トリル構築には封印というBo1特化のシンプルな構築でした。

<INC March>
2月で使った構築はそのままにサブロム用の構築を練習していました。
明らかに魅力を感じたRinya Sunを握ることに決めリンヤさん本人に選出や動かし方を聞き練習していました。
しかしながらザシオーガ+ゴリラorカミツルギに対して択にしかならず不安定な状態から抜け出せません。
結局ザシオーガに対して自信の持てない状態でINCに挑むことになり案の定1820を超えたあたりでザシオーガに勝ったら負けたりを繰り返し予選落ち。
最後まで原型Rinya Sunでザシオーガに勝つ方法はわかりませんでした。
黒バドザシアンの方は途中で不利構築をたくさん引いて終了。
ディアルガソルガレオは少ないと踏んでいたのですが周りもよく当たったと言っていて黒バドザシアンの方は賞味期限切れの予感がしていました。

<INC April>
引き続きRinya Sunを練習したり色々な構築を触っていましたがどれを使っても中々勝てません。
このような状態だったのと2月の黒バドザシアンをこのまま使い続けていいものか不安だったので上振れ狙いで2月の黒バドザシアンを使用。
結果は最高1800程度で完全に賞味期限切れだと感じ2月の黒バドザシアンを手放すことを決意しました。

<INC May>
勝てない状態は依然として続きます。
しかしここでらみるーさんがイベザシで1位になったと聞き回し方を教えていただきました。
最初は中々勝てませんでしたが質問と実践を繰り返して立ち回りを固められて本番3日前に1900まで行けたのでそれなりに自信を持ってINCに臨みました。
結果は29勝7敗の1776で予選抜けすることができました。

<PJCS本戦>
5月のINCで使ったイベザシは4月の黒バド環境を強く意識した構築で追い風ザシオーガはなんとかなるものの壁ザシオーガは不利構築でした。
5月のINC後はザシオーガが増加しておりまた新しい構築を探すことに。
まず注目したのはWolfeとYoshiが使っていた珠ダイマレジエレキ+ガオガエン+ゴリランダー+ザシアンでした。
珠レジエレキに強く魅力を見出していた構築です。
これはリンヤさんに話しこのあたりからはリンヤさんと意見を交わしながら対戦をこなしていました。
そしてその過程でリンヤさんから珠レジエレキ+グラードン+ドータクンが強いのではないかという案が出てきました。
その案を軸にJoseph Ugarteが使っていたグライベバナエレキガエンポリ2をいじって回していきます。
回していく過程で珠レジエレキではなくフシギバナの方が強い、フシギバナに珠を回した方がいい、イベルタルを出さないグラバナガエンドータの出し方が強いという結論になりました。
ここでえげさんがグラゼルネで同じようなことをしていたことを思い出し型をそのまま真似てみることに。
これが非常強く結果的にはほぼ完コピのような形になりました。
このような経緯で構築が完成しPJCS本番は4-2で予選抜けからの決勝トーナメント1回戦負けでベスト32でした。

<WCS2022>
PJCS後から珠ボルトロスが明らかに増加しドータクンのトリルを張る性能がガタ落ちしたことからこれでは無理と判断し他の構築を探していきます。
まず魅力を感じたのはSNOWさんのザシオーガでした。
チョッキカイオーガの雑な強さ、先発壁オーガの削りからの後発ボルトザシアンの制圧力とわかりやすく強く自分が好きな要素が詰まっていました。
しかしトリトドンの対処が上手くできず断念。
この構築のオーロンゲをエナボ甘える光の壁エルフーンに変えた形も試しましたが壁張りポケモンに落ちてもらって裏からボルトザシアンを展開したいことを考えると場に残って強い甘えるエルフーンはリフレクターオーロンゲに比べて噛み合いが悪いと感じ使うのをやめてしまいました。
もう1つはあかとしさんが使っていた黒バドザシアンエルフリザボルトイエッサンでした。
これも強さとしてはSNOWさんのザシオーガと似た系統だと思います。
自分が触った構築の中では最も勝率が出ていました。
ただこの時期に増えていた白バドパルキアを除いたトリパ、特にエレキ白バドポリ2に詰んでいると感じて断念。
このあたりでリンヤさんはRinya Sunを使うことに決めたようで意見を交わす相手が完全にいなくなってしまいました。
ここからほぼ1人でポケモンをやることになるのですが今思うとかなり視野が狭くなっていたと思います。

この後は海外大会を見ながら自分が使えそうな構築を探していくことになります。
その中でTaran Birdeeのザシオーガエルフバレルリザボルトに最も魅力を感じて回していました。
これはBo3のオフ会や対戦会でも悪くない勝率を保っていてミラーが頻発する可能性が高いながらも世界に持っていく可能性が高いと感じていました。
しかしWCS本番の2週間ほど前にメタが回ったのか一気に勝てなくなり、また、私以外の高レートのザシオーガバレルエルフも軒並みレートを落としておりこれはまずいと判断して見切ることにしました。
2週間前に構築を変えるのはどうなんだとも思いますが結果的にDay1とDay2ともにバレル入りのザシオーガが1人も抜けていないことを考えるとこの判断そのものは間違ってなかったと思います。
しかし意見を交わし合える仲間がいない私はここからどうしようもなくなってしまいます。
この時期になると自分の構築の話をしてくれる人はほとんどおらず意見を交わし合える人間関係は少数の人としか築いてこなかった私としては致命的な事態になっていました。
そして何をやっても勝てない状況に陥ってしまいます。
この状況で教えてもらえた構築の中で最も勝率がマシだったのが世界大会で使ったソルガレオオーガトルネエレキガエンバレルでした。
本当にまだマシとしか言いようがない勝率でしたがDay1で多いと予想していた白バドパルキアにはほぼ負けなしでRinya Sunにも高い勝率が出ていたので他の構築に対して可能な限り立ち回りの準備をして臨みましたが実質時間切れでした。
結果はDay1で1-3で会場大会初めての負け越しとなりました。
ザシオーガはある程度択になるのは覚悟していたのですが、当たったザシオーガ2回の片方がヌケニンポリゴン2でかなり詰んでたのとソクノじゃないリザードンがレジエレキの前で3回動いてきたり、レジエレキの前でリザードン動かしながらザシアン身代わりされたりと厳しい対戦でした。
また、私は普段前のめりな構築を使うことが多く、基本的にサイクル戦が苦手で、かなり緻密なサイクル戦を行わなければいけない今回の構築は本番でボロが出ることになってしまいました。
調整時に私らしくないと言われたこともあり不慣れな構築を十分な練習時間を取れてない状態で持っていったことも敗因の1つかなと思っています。
ただ、ザシオーガエルフバレルを持っていっていたとしても勝利数が増えるだけでどのみち抜けていなかったと思うので、ここに関しては仕方なかったのではないかと思います。
ただ、ザシオーガエルフバレルがダメだと思った時に無意識にザシオーガそのものを辞めてしまったのは反省です。
ザシオーガエルフバレル以前にザシオーガガエンゴリラロンゲサンダーを試したことはあったのですが、特に勝率が悪かったわけでもないのに動きが好きじゃないという理由で離れてしまい、それ以降触ることはありませんでした。
ただこれは大会が終わった今だから言えることかなと思います。


<WCS2022の反省>
元々私は1人でポケモンをするタイプではなく、2人でそれぞれ対戦をこなし、使って強いと感じたものや対戦して強いと感じたものを提案、意見し合って強い構築を見つけていくという取り組み方をしており、それができなくなった時点でかなり苦しい取り組みになっていました。
実際に今年それができていたのはPJCSの準備の時のみでそれ以外は完コピしかできていません。
私は基本的には強いと感じた軸を持ってきてそれをアレンジして使うというやり方が多かったのですが、今年は参考にした構築から一切アレンジが思い浮かばず、正直限界を感じていました。
今思うと世界大会権利ですらなんとかしがみついて取ったというのが正しいかもしれません。

また、私は今までの経験から無意識に避けてしまう構築がありました。
今年で言えば追い風もトリックルームも壁もない構築、ガエンゴリラサイクル、あとは数ヶ月前に試してダメだった珠オーガ、グラトドンなどです。
特に私はサイクルが得意ではなく打ち合う構築が好みで、ガオガエンが好きではなく強さも感じられていません。
特にガオガエンが好きではないというのはこのルールは致命的だったようで前のめりな構築にも多く採用されていて自分の考え方が間違っていたことを強く思い知らされる結果になりました。
教えてもらった構築や試したことのある構築に強いものはいくつもあったのですがそれらを扱えなかったり、すぐ辞めてしまったのはガオガエンを理解していなかったからだということをWCS後に気付きました。
こういった時どういう解決の仕方をしたかと考えると基本的には一緒にやっている人から強いぞと言われて試すことがほとんどです。
1人でこのような先入観から脱するのはかなり難しいと考えます。
上で書いた避けていたものは今年の勝ち組構築ばかりですが、1人でこれに辿り着く分岐はいくら考えても思い浮かばず、WCS後に何人かと話した上で今年は詰んでいたという結論になりました。
その中で私が出来たであろう最も勝ち上がる可能性があった分岐はトリルを切ってあかとしさんの構築をベースにしたものを持っていくことだという結論になりました。
これはWCS後数日間気付くことがありませんでした。
何をやっても勝てていないんだから白バドパルキア以外のトリルを切った構築を持っていくのがマシというのは考えてみれば当たり前の話ですが言われるまで気付きませんでした。
1人だとどんどん視野が狭くなってしまうという例の1つかもしれません。

ここまでを踏まえてもし来年も1人でやるとしたら、
・立ち回り準備以外での真剣勝負のフレ戦をいくつかの構築でしてもらい、どれが相手していて強いと思ったかを教えてもらう。
ということは必ずやった方がいいと思いました。
幸運なことに日常的に意見を交わす人はいなくても立ち回りの準備を手伝って欲しいと頼んだ時に相手をしてくれるな方は何人もいたのでそういった方々に率直な意見をもらえるようにこちらが上手くコミュニケーションを取れればと考えています。
今年は世界大会は散々でしたが私が頼った時に断られないような人間性にはなれたようでそれはよかったと感じました。

もう1つ「サイクルから逃げない」ということも考えましたが、サイクル構築が強いかはルールによって変わるものなので、普段の前のめりな構築選びで全く勝てない時に選択肢から外さないにしようくらいに思い直しました。
ただ立ち回り勝負から逃げないようにしようとは思いました。
今思えば構築だけでなんとかしようとして立ち回り勝負から逃げてたのかもしれません。
以前はトップメタに有利でそれ以外には不利とっても構わないと考えていたのですが今後はどの構築にも五分で戦えるというスタンスでもやっていこうかなと思います。

また、自分はポケモンが好きなのではなく誰かとポケモンを考えることが好きだということに気付きました。
今年は1年通して苦しいと感じることが多かったです。

今年は自分の才能の無さ、1人での取り組みの弱さに直面してしまいましたが来年以降やることがあればまずは上のことに注意してやっていこうかなと考えています。
また、誰かと一緒に構築を考えることがあれば同じ大会に向けて取り組む人とやるのが一番後悔が少ないのかなと感じました。